「答えがわかればそれでよい」のか

「せんせーい、ここの答え何ですか?」

「これの答えを教えてください」

 

 指導しているとよく遭遇する事例ですが、とにかく急いで答えをわかろうとする生徒がいます。

 

 本当にそれでよいのでしょうか?

 

 こんな質問が出ると、私はこう答えます。

 

「私はYahoo知恵袋じゃない!」

 

 問題に取り組み、真剣に向き合い、理由を想像し、答えを導き出す。

 

 この過程は、大人になって仕事をしたり、諸団体で運動に取り組んだりするときにも必ず経験するものです。

 

 すぐに答えにたどり着こうとするのではなく、「なぜそうなるのか」を考える能力が「生きる力」になります。

 

 受験も間近に控え、焦る気持ちもあると思いますが、そんなときだからこそじっくり考えることの大切さに気がついてほしいと思います。

 

 一方、「考える」ためには、一定量の知識は不可欠の要素です。知識もなしに考えることはできません。

 

 その知識を身につけるためには、問題に対する答えとその導き出し方を訓練して身につけなければいけないのです。

 

 一見すると、先ほどの意見と正反対でパラドックスが成立しているように見えますが、この対立する両方の要素を高次元で統一することこそが重要なのです。

 

 知識を増やすことによって考える力を養い、考えることによって知識にさらなる深みをもたらす。

 

 これは、「対立物の相互浸透、対立物の相互転化」という弁証法哲学の捉え方です。

 

 世の中には、「明日からすぐに役立つ〇〇」などというものが流行していますが、じっくり時間をかけて身につけることの大切さをぜひとも学んでほしいと思います。

 

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