社会(地理)解説 2018年 岐阜県公立高校入試

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 大問2番は地理の問題です。今年は南米とアフリカ、関東と中部という出題でした。

 それでは、解説をしていきましょう。

 

1. サヘル

 図中の網線部の地域は、「サハラのふち」=「サヘル」と呼ばれています。乾燥帯の砂漠での暮らしは非常に厳しいのですが、特に気温の日較差=一日の最高気温と最低気温の差が大きいことが特徴です。日中は50度近くまで上昇する気温が、夜間には0度近くまで下がることもあります。

 砂漠地方というと、砂だけの砂漠を思い浮かべがちですが、サハラ砂漠の多くは岩石砂漠です。それほど砂ばかりというわけではありません。歴史上では、イスラム勢力がムラービト・ムワッヒド朝を形成したり、マリ王国の全盛期には金の産出で栄えたこともあります。

 砂漠の旅を記した物語も多数ありますが、ジョジョの奇妙な冒険・第3部・スターダストクルセイダースの後半なども面白いですね。

 

2. アンデス(山脈)

 ロッキー山脈とアンデス山脈はしっかりと覚えておきましょう。図のアンデス山脈は西海岸部のみが書かれていますが、実際の山脈はカリブ海からベネズエラ、コロンビア、エクアドルを通ってペルー、ボリビア、チリとつながっていきます。環太平洋造山帯を形成する山脈でもあります。緯度が低く、赤道付近であるにもかかわらず気温が低くなるのは高山気候の影響です。

 

3. ア c=夏、d=地中海性気候

 西岸海洋性気候は一年を通して降水量が多く、湿潤な気候ですから、特定の季節に雨が少ないという点からみて、dが地中海性気候であることは確定です。実際に地中海になくても地中海性気候であるという点に注意してください。地中海性気候の特徴は「夏」に降水量が少ないことですが、「ラパトはともかく、ケープタウンは7月に降水量が多いではないか」と思われるかもしれません。しかし、ケープタウンは南半球にあるため、北半球とは季節が反対、つまり1月が夏になるわけです。

 なお、実際に地中海にはないのに地中海性気候である代表例が、アメリカ西海岸のカリフォルニア、アフリカ南西部のケープタウン、オーストラリア南西部のパースなどです。

 

4. 石炭

 エネルギー革命は、エネルギー源が「石炭」から「石油」に変わったことです。それまで石炭を中心に栄えていた炭鉱の町などは大きな影響を受けました。代表的なものは、福岡の三池、北海道の夕張などです。大規模な労働争議もありました。

 現在では、地球温暖化への配慮から、石油などの化石燃料から自然エネルギーへの転換が進み始めています。第2のエネルギー革命も近いかもしれません。

 

5. シリコンバレー

 コンピュータ関連工場などが立ち並ぶこの地域はシリコンバレーと呼ばれます。九州地方にIC工場が設立されシリコンアイランドと呼ばれるようになったのも、もとはシリコンバレー由来です。

 シリコンバレーで働いた人たちが母国に戻って活躍している代表例がインドのバンガロールや台湾です。

 

6. エ

 グラフから国を選ばせる問題です。最近は英語でもこのような国別比較の表を読み取る問題が多く出題されています。慣れておくことが大切です。

 各項目の注目点ですが、まず、携帯電話契約数の「伸び」率については、先進国ですでに普及が進んでいるアメリカ・日本は伸び率が低く、発展中の中国・ブラジルは伸び率が高くなりそうです。この時点でイ、エに絞れます。

 次に国民総所得です。アメリカが世界一、中国が日本を抜いて世界2位になったことを知っていれば、アがアメリカ、イが中国、ウが日本とわかりますが、それで判別できなくても、一人当たりの国民総所得をみると、イだけ極端に低いことがわかります。中国は国民総所得が上がっているとはいっても、人口が圧倒的に多いですから、一人当たりの国民総所得ではまだまだ発展途上国のレベルです。このことからイの中国が決まります。

 したがって、エがブラジルです。

 

7. イ

 超難問です(冗談)。埼玉県は東京都の北、茨城県は霞ケ浦や日立など海沿いであることはすぐにわかります。問題は、群馬県と栃木県の東西の位置です。しっかり覚えている人には簡単な問題ですが、同じ内陸県で形も似ていて隣同士という、なじみのない人には難しい問題です(地元の人には怒られそうですが)。

 新幹線に乗ると違いがよくわかります。東京から新潟方面に行く場合は上越新幹線に乗車しますが、埼玉県を抜けると高崎(群馬県)を通って新潟へ入ります。一方、東北方面へ向かう東北新幹線は、埼玉県を抜けた後、宇都宮(栃木県)を通って福島県に入ります。このことから東が栃木県、西が群馬県と判断できます。

 北関東3県はどの県がもっとも〇〇かで競い合っているそうです。ガンバッテホシイデスネ。

 

8. 新潟市

 北陸地方最初の政令指定都市は「新潟市」です。「金沢市」ではないんですね。

 入試の勉強を教えているときに、中3の生徒から「政令指定都市」と「地方中枢都市」の違いについて質問がありました。

 政令指定都市は人口50万人以上の指定された都市のことなので、横浜市、川崎市、相模原市、さいたま市、千葉市などの首都圏の人口の多い都市も含まれます。また、静岡市、浜松市、堺市、岡山市、北九州市などそれなりの規模の年ですが、地方で一番の都市ではないものも含まれます。もちろん大きな都市であることは間違いないので、四国の山の中に暮らしているような人にとっては、瀬戸大橋を渡った向こうにある岡山市などは「大都会」に違いありません(アンジェラ・アキ、大都会岡山で検索してみよう)。

 一方で、地方中枢都市とは、その地方で中心的役割を果たしている都市のことです。札幌市、仙台市、名古屋市、広島市、福岡市などは政令指定都市であり地方中枢都市でもあるわけです。北陸地方でいうと、新潟市は政令指定都市ですが、地方中枢都市は政令指定都市ではない金沢市ということになります。

 

9. 季節風(または モンスーン)

 中学の地理では「貿易風」を学習しないので、「風」についての問題は、「季節風」「偏西風」「からっ風」「やませ」の4つ以外には答えはありません。

 瀬戸内地方で降水量が少なくなる理由については、過去に説明の問題でそのものが出題されたことがありますので、過去問をしっかりと復習していた生徒にとっては「してやったり」の出題です。

 夏の季節風については、南四国の降水量増について、冬の季節風については、日本海側の降雪量増について問われることもあります。

 偏西風は地球上を回っている北半球の西風で、天気が西から東へ変わる原因であり、イギリスやスカンジナビア半島の西海岸が緯度のわりに温暖であることにも影響しています(これが西岸海洋性気候です)。

 からっ風は冬の季節風が山脈で遮断された結果、乾燥した風が関東平野=群馬県などに流れ込む現象です。昔から「上州平野とからっ風」といい、防風林が作られたりしています。群馬県は自家用車の所有率が非常に高く、ドライブスルー文化が発達していることも、からっ風に関係していそうです。

 やませも定期的に出題されます。こちらは夏に東北地方の太平洋側にふく冷たい風で、作物が育たない冷害の原因となります。親潮=千島海流に乗った冷たい風は、北海道の根室地方で濃霧の原因となり、東北地方ではやませの原因となります。2017年はやませが激しく、東北地方は記録的な冷夏となりました。

 

10.「見通しが悪い」

 「見通し」という語を使って、と言われた以上、「見通しが良い」か「見通しが悪い」かの二択問題です。

 当然、城にいきなり攻め込まれてはかないませんから、見通しが悪くなるように作られています。

 

11.ウ X=貨物 Ⅰ=船

 まず、船、自動車、鉄道のなかで旅客輸送がほとんどないと推測されるのは船です。一方で、貨物輸送では重いものを大量に運ぶことができるタンカー輸送などで船は活躍しますので、Xが貨物、Ⅰが船だと確定できます。

 ちなみにいずれも大きく伸びているⅡが自動車だということも理解しておくことが大切です。特色化選抜入試の時代に、自動車輸送が伸びている利点と鉄道輸送の利点を比較させる問題などが出題されています。

 

12.促成栽培

 「温暖」で「早める」とくれば促成栽培です。「夏の冷涼な気候」「遅く出荷する」ときたら抑制栽培ないしは高原野菜が正解となります。

 

 以上、地理の解説でした。有隣塾では社会の解説にはかなりの自信があります。数学や理科など計算が必要な科目にばかり目が行きがちですが、世の中のことをしっかりと理解する社会科はとても大切な科目です。がんばって勉強しましょう。