2018年度の理科は問題構成が変化し、例年最終問題だった小問集合が最初になりました。
有隣塾では生徒たちに、「問題構成や出題傾向が変わることはあっても、難易度が大幅に変化することはないし、仮に難しくなればみな同条件だから、心配の必要はない」と伝えていました。
では、内容を確認していきましょう。
1. (1) 相同器官 (2) イ
生物の進化(2年)に関する問題です。「相同器官」は進化の問題では頻出事項ですのでしっかり覚えておきましょう。また、生物の進化の過程も「海中から陸上」の順に覚えておきましょう。
2.(1) ウ (2) ア
天体(太陽系)(3年)の問題です。公転周期を考えればすべての惑星が確定します。「水金地火木土天海」の順と特徴を覚えておきましょう。(2)はイ、ウ、エが明らかな間違いを含んでいますので、消去法でアを導いてもかまいません。エについては、水星、金星は地球から見て太陽と同じ側にあるので、真夜中には見えないということを説明できるようにしておきましょう。
3.(1) ウ (2) ポリ塩化ビニル
プラスチックの分類と密度の計算(1年)の問題です。浮かんだストローだけが水より密度が小さいことがわかります。密度の単位は、g/㎤ですので、g÷㎤の計算です。21÷14=1.5ですから表からポリ塩化ビニルだとわかります。
4.(1) a (2) イ
音(1年)の問題です。振幅と振動数について違いを理解しておきましょう。特に振幅はaとdを間違えやすいので注意です。図3から図4では振幅も振動数も変化しています。振幅は小さく、振動数は増えていますので、小さな高い音が鳴ったことになります。張りは強く、弦は弱くはじいたことになりますから、イが正解です。
2番は消化と吸収(生物分野2年)の問題です。生物は植物の分類(1年)、消化と吸収(2年)、動物の分類(2年)、遺伝(3年)が学習内容です。どの分野も難問は作成しづらいのですが、実験と絡めた問題が出題されることが多いですね。
それでは解説していきましょう。
1. 突沸を防ぐため
沸騰石は沸騰させるために入れるのではなく、沸点達した瞬間に一気に沸騰することを防ぐために入れます。電子レンジを購入すると、注意書きに「液体(水、コーヒーなど)を熱しすぎないでください」と書いてありますが、これもレンジ内での突沸を警戒した注意書きです。間違ってもコーヒーに沸騰石を入れてレンジに入れないでください。
2.(1) ア (2) カ
ヨウ素デンプン反応に関する出題です。「対照実験」という用語で出題されることもありますので学習しておきましょう。だ液を入れたか入れていないか、ヨウ素液とベネジクト液のどちらを入れているかで判断します。
3. アミラーゼ 4. 胃
消化酵素に関する問題です。「消化酵素」自体を聞かれることもありますので、漢字で書けるようにしておきましょう。だ液に含まれる消化酵素はアミラーゼ、胃液に含まれる消化酵素はペプシンです。
5. エ
温度だけを比較できる対照実験にする必要があります。デンプンとだ液が入った状態で氷水にすればよいわけです。
6. ウ、オ
体温を一定に保つことができる動物を恒温動物といいます。哺乳類、鳥類を選べば正解です。
3番は化学分野から電池に関する問題です(3年)。化学は2年で学習する化学反応(化合と分解)と3年で学習するイオン(中和)が頻出ですが、電池も大切な分野です。
1. ア
電流が流れるためには、電解質の水溶液である必要がありますので食塩水が正解です(他にも条件はあります)。
2. Zn
-極になるのは亜鉛板の方です。亜鉛の元素記号はZnです。解答の際には、名称を問われたのか、原子記号(化学式)を問われたのかをしっかりと確認しましょう。
なお、中学で出題される化学電池の場合、銅板側が+極になることがほぼ確定です。高校の科学では白金(Pt)電極なども登場するので、その限りではありません。陽イオンになりやすさ(イオン化傾向)の違いを利用した装置ですので、高校ではイオン化傾向も覚えておきましょう。
3. 水素
A、Bいずれの場合も-極になる金属板(Aは亜鉛板、Bはマグネシウム板)が溶けてイオンになり、水溶液中の水素イオンが電子を受け取って、水素分子となって銅板側で発生します。
4.(1) Mg2+(2+は上付けで半分のサイズ) (2) 2
イオン反応式は覚えましょう。
5. エ
これまでの説明通り、-極で金属が電子を失って陽イオンとなり、電子は-極からプラス極へ移動し、そこでもとからある水溶液中の陽イオンに電子を受け取らせています。
6. イ
いわゆる充電ができる電池のことを二次電池といいます。
4番は地層と岩石(1年)に関する地学分野の問題です。地学は1年で地層、岩石、火山、地震を学習し、2年で天気、3年で天体を学習します。苦手にしている人が多い分野という印象ですが、これは教科書で地学分野が最後になっていることにも関係していそうです。前後期の2学期制では後期期末試験のあとに学習することになって、十分な復讐をしないまま、次学年の前期中間考査の範囲外になるために、結局あまり学習しないままになってしまうからです。
1. A
そりゃあ上に乗ってる方が新しいでしょうね。小学生の問題です。
2. 示準化石、ウ
年代を推定できる化石は示準化石です。特定の時代に広く分布していることが条件です。反対に、長い年代にわたって特定の場所で生息したことがわかる化石を示相化石といいます。区別をしっかりとつけましょう。時代=J、示準=Jと覚えます。
3. イ
粒の大きいものから順に堆積します。れき>砂>泥の順に粒は小さくなります。これも小学生の問題です。
4. 等粒状組織、エ
地下深くでゆっくりと冷えて固まった岩石は、鉱石間の隙間がなくなります。こうした形状を等粒状組織といいます。反対に地表近くで急に冷えて固まった場合は斑状組織になります。
5. 地熱
地熱発電です。日本は火山が多いため活用が期待されています。
最終5番は電流と発熱に関する物理分野の問題です(2年)。過去に類似問題が何度も出題されているので取り組みやすかったと思います。
1. 0.5
ワット(電力量)の計算問題です。W(ワット)=A(アンペア)×V(ボルト)ですから、6Vー3Wで0.5Aとなります。
2. (略) 比例のグラフです
3. ウ そりゃあ、長けりゃ大きいし、小さければ小さいでしょうよ。
4. 1680
1gの水を1℃上昇させるのに必要な熱量は4.2J(ジュール)です。
100gを4℃ですから、4.2×100×4=1680 Jです。
5. 1800
ジュールの計算は仕事量W(ワット)×秒でも計算できます。
6W × 300秒 = 1800 J
6. イ
4,5の結果から、温度上昇に使われたのは1680Jにとどまっているため、外へ逃げていることがわかります。
7. ア
直列につなぐため全体の電圧はそれぞれの電熱線に分かれてかかることになります。
6V-3Wの電熱線の抵抗は12Ω、6V-6Wの電熱線の抵抗は6Ωなので、ひとしい電流を流すためには6V-3Wの電熱線に4V、6V-6Wの電熱線に2Vの電圧がかかることになります。流れる電流は同じ大きさなので、電力量はV-3Wの電熱線が2倍になります。したがって、アが正解です。
今年の理科は全体的に簡単だったようです。もちろん十分な練習をしていないと簡単だとは感じられないですが、地学の問題が平易だったことが影響していそうです。